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境界例・人格障害(一般向)
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本の題名をクリックすると、オンライン書店 Amazon.co.jp の、その本の紹介ページに行きます。
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【推薦図書】
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著 者:ジェロルド・J・クライスマン、ハル・ストラウス
出版社:VOICE
発行日:2004年 6月25日 価格:¥1,900- ISBN:4899760701
このコーナーでも紹介しています「I Hate You - Don't Leave Me」の翻訳本です。アメリカではロングセラーになっていて、心理学系の学生のほとんどがこの本を読んでいるそうです。
書かれている診断基準はちょっと古いのですが、解説書としては、内容がよくまとまっています。読者に分かりやすく説明するために、たとえばマリリン・モンローをはじめとして、たくさんの患者のケースが紹介されていますので、具体的な事例を通して、境界例について知ることができます。また、患者の回復してゆく過程も、具体的なケースを紹介しながら書かれていますので、自分の問題を見つめ直すのにいいのではないかと思います。
内容としては、まず境界例の精神世界を分かりやすく描いています。そして、境界例の原因について、さまざまな角度から説明して、さらに各種の治療法の解説、家族の人たちはどう接したらいいのか、ということが書かれています。末尾には、日本での現状に関する専門家へのインタビューが掲載されています。この専門家の方は、現場でたくさんの患者を診ているだけあって、なかなか興味深いことを言っています。なかでも、子どもを境界例にする方法、には思わず笑ってしまいました。
この本は、境界例の人や、その家族、心理学部や医学部の学生、セラピストの方などに、境界例の詳しい解説書としてお勧めします。
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【推薦図書】
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はれものにさわるような毎日をすごしている方々へ
著 者:P.メイソン, R.クリーガー
出版社:星和書店
発行日:2003年 4月10日 価格:¥2,800- ISBN: 4791104986
やっとのことで翻訳が出ました。待望の一冊です。原著は、このコーナーでも紹介しています「 Stop Walking on Eggshells 」です。
この本は、境界例の人の"周囲"にいる人たちのために書かれた本でして、境界例の人が引き起こす問題行動に、どうやって対処したらいいのかということが、具体的にわかりやすく書かれています。また、境界例の人自身が読んでも、自分がかかえている問題を知る上で役に立つ内容になっています。というわけで、境界例というものにかかわっている人は、一度はこの本に目を通しておいたほうがいいのではないかと思います。私自身も、「境界例の人との付き合い方」シリーズを書く上で、この本を参考にしています。
内容としては、まず症状の具体的な説明や、なぜそんな問題行動をとってしまうのかという解説から書き始めて、ふだん境界例の人の近くにいるあなたが、境界例の人から知らぬ間にどのような影響をうけているのかということなどについて、具体的な例をあげながら、分かりやすく書いています。そして次に、境界例の人に振り回されることなく、自分が自分であるためには、いったいどうしたらいいのかという、その具体的な方法や、どうやって境界例の人をサポートして行ったらいいのかということが書かれています。境界の設定や、自分と他人を区別することなどについても、ここに書かれています。そして、終わりのほうでは、特定の問題として、自分の子供が境界例の場合や、境界例の人が嘘をついたり、事実をねじ曲げて話したりする問題などを取り上げています。
このように、良い内容の本なのですが、いくつか問題点もあります。まず、翻訳がイマイチな部分がありまして、ところによっては読みにくく感ずることがあるかもしれません。それに、アメリカで出版された本をそのまんま翻訳しただけですので、医療制度の違いについては、なにも触れられてません。さらに、著者が認知療法の人だからかなのでしょうが、精神分析の考え方や用語をたくさん使用しているにもかかわらず、境界例の原因や、治療に関する解説では、精神分析についてまったく触れていません。完全に無視しているのです。認知療法や行動療法をやっている人の中には、「われこそは科学的な治療法である」とか言ってふんぞり返っている人を時々見かけますが、まあ、それはそれで本人の勝手でいいのですが、この本のように、精神分析の用語をいくつも使っているのであれば、もう少し人間的な度量の広さを見せてもいいのではないかと思います。実際問題として、境界例の理解や治療に関しては、精神分析的な分野が、大きな役割を果たしてきたのですから。
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どうして普通にできないんだろう
著 者:磯部潮
出版社:光文社
発行日:2003年 4月18日 価格:¥700- ISBN 4334031943
この本は、人格障害というものについて、話題になった事件なども取り上げて、ひととおりの解説をした本です。
まず最初に、正常な人格と異常な人格の違いについて説明をした後で、人格障害のなかでも中核的な存在である境界性人格障害について、具体的な症例をあげながら説明しています。その次に、人格障害という概念が作られた経緯について解説して、それから、現在あるすべての人格障害について具体例をあげながら、広く浅く解説し、人格障害の治療についても、ひととおりの説明をしています。
そして、後半の方では、これがこの本の特徴でもあるのですが、人格障害の影の部分と、光の部分について書いています。影の部分としては、「新潟少女監禁事件」「池田小学校殺傷事件」「オウム真理教の麻原彰晃」「酒薔薇聖斗」「宮崎勤」などの事件を取り上げて、そのぞれの心の軌跡、精神鑑定の結果、人格障害との関係について考察しています。光の部分としては、歌手の尾崎豊、作家の太宰治、三島由紀夫をとりあげて、その才能と人格障害の関連性について考察しています。
この本は値段も手ごろですし、人格障害全般の解説書としては、いいんじゃないでしょうか。
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著 者:スザンナ・ケイセン
出版社:草思社
発行日:1994年6月15日 価格:¥1,600-
ISBN: 4794205562
著者が十八歳の時に境界性人格障害と診断されて、精神病院に入院した。そして、四十代になったときに、入院していた日々のことを思い出しながらこの本を書いた。性的逸脱、自傷行為、抑うつ感、慢性的な空虚感などが主な症状。そして、思春期病棟で入院中に出会った、さまざまな障害を持った個性的な少女たちへの回想。そして、彼女たちとの印象的なエピソード。読んでいると、涙が出てくる場面がいくつかあります。二十数年の時を経て書かれているためでしょうか、登場人物たちへの暖かいまなざしが感じられます。ただ、日本語への翻訳で多少気になる面がありますが、まあこれはしょうがないですね。
原題は「 Girl Interrupted 」。直訳すれば、「中断された少女」ということになるでしょうか。青春の一時期を、精神病院という特殊な別世界で過ごしたということを的確に表現しています。この本は出版されるとすぐにアメリカでベストセラーになりました。映画化もされて、日本では「十七歳のカルテ」というタイトルで上映されています。
映画の解説は Sony Pictures Online の中にある 17歳のカルテ のページに書かれています。DVD 版はこちら。
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理解と治療に向けて
著 者:井上果子 松井豊
出版社: サイエンス社
発行日:1998年12月25日 価格:¥1,400-
ISBN: 4781908993
この本は非常にバランスのとれた内容になっているため、境界例をとりまく様々な事柄を、治療を含めて総合的に理解できます。特に症状についての詳細かつ具体的な描写はなかなかのものだと思います。素人でも理解できるように専門用語を実にうまく言い換えている点も感心します。そんなわけで非常にわかりやすく書かれた本なのですが、一方で境界例を知らない「専門家」を意識しているようなところもありまして、この本の理論的な背景となっている書籍も紹介されています。専門家のための入門書としてもまずまずの内容になっていると思います。
巻末に全国の大学の心理相談室やカウンセリングルームについての料金や相談内容などの詳細な一覧表があります。心理学畑ですね。
出版社の、この本の紹介ページ
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自己を見失う日本の青年たち
著 者:町沢静夫
出版社: 丸善
発行日:2003年 1月 25日 価格:¥1,600-
ISBN: 4621052276
みなさんご存知の、町沢静夫の書いた本です。大きな事件があるたびにワイドショーなどに出演して、専門家の立場から解説をしているのですが、この人の発言に対する評価は人それぞれのようです。
しかし、境界例の患者から「殺してやる」と脅されたり、治療中にいきなり顔を殴られたりしながらも、それでも患者の治療と取り組み続けている、その情熱は十分評価に値すると思います。
町沢静夫は境界例の本をたくさん書いていて、自分でも日本における境界例の第一人者であると自負しているかのような印象を受けますが、この本はその自負を裏付けようとする意味でも、町沢静夫の仕事の集大成的な内容となっています。同時に、日本で一般向けに書かれた境界例の総合的な解説書としては、一番詳しく書かれた内容となっていますので、みなさんにも一読をおすすめします。
内容としては、診断基準の説明、境界例概念の歴史、見捨てられ感について、境界例の下位分類の試み、治療技法として、支持療法、力動的精神療法、認知行動療法などについて書いています。
ただ、自分が行った調査の統計的な数字を、やたらとあちこちに並べまくっているのは、一般書としてのバランスを欠いていると思います。まあ、実証性を重視して、症状の統計的な調査にこだわる気持ちも分かりますが、こういう統計的な数字をあれこれと細かく比較検討するといったようなことは、他の専門雑誌などに発表すればいいと思うのですが、こういう本でしか発表する機会がないのかな……。
(1997年に丸善ライブラリーから出版された「ボーダーライン−青少年の心の病」に手を加えて、再出版したものです)
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著 者:河合隼雄 成田喜弘 編
出版社:日本評論社
発行日:1998年 3月 1日 価格:¥1,400-
ISBN: 4535560757
境界例に関わっている名士達が十四名ほど名を連ねていますので、今の日本の状況を理解するにはちょうどいい本です。境界例セラピストの第一世代とでも言ったらいいでしょうか。
この本の中で、成田善弘が河合隼雄に向かって言っている言葉が印象に残ります。「文化の違いはすごく大事なんですけれども、そのことをあまりにも早い段階で言ってしまうことで、セラピストとしての技術的な未熟さとか、理論的に突きつめていくという努力を回避する手段になってはいけないと思うのです」(そうだ、その通りだ!)。
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過大な自己愛と現実とのズレに苦しむ若者たち
著 者:町沢静夫
出版社:双葉社
発行日:1998年7月15日 価格:¥1,500-
ISBN:
当時の酒鬼薔薇聖斗による殺人事件から書き始めています。子供を取り巻くいろいろな問題を取り上げて、タイトル通りに、過大な自己愛と現実とのズレに苦しむ若者たちの姿を描いています。そして、自己愛性人格障害について解説しています。具体的なケースがいくつか出てきますので、それらの中に、自分とだぶる部分を見いだすのではないでしょうか。自分というものを振り返ってみるには、いいかもしれません。
文庫本版はこちら
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著 者:平井孝男
出版社:創元社
発行日: 2002年09月20日価格:¥1,800-
ISBN : 4422112805
この本は専門書のコーナーにも紹介してあります。
この本は、セラピストと患者の両方を読者対象として書かれた本のようです。著者は、たくさんの境界例患者を扱ってきた経験を生かして、境界例の治療技法を対話形式でわかりやすく解説しています。
まず最初に、患者や家族からよく聞かれる質問への答え方について、具体的な言葉の選び方などを、例を挙げながらわかりやすく説明しています。この部分は、セラピストだけではなくて、患者や患者の家族にとっても参考になるでしょう。その次に、境界例の専門的な解説を、具体的な事例をあげながらわかりやすく解説しています。特にセラピストにとって参考になると思われるのは、非常に具体的で実戦的な対処方法が書かれているという点にあります。患者が読んでも、回復の参考になるようなことが書かれています。
しかし、著者は宗教系というか、仏教関係の人のようで、内面への洞察がどうしても仏教的な方向へ流れてしまいがちです。それにこの本では、逆転移の問題が書かれていません。逆転移の問題は、セラピストにとって、治療を左右するものであり、これこそがこの本のテーマでもある「治療のポイント」であると思うのですが、考え方の違いと言われればそれまでですが、この問題は取り上げられていません。
著者は場数を踏んでいますので、ベテランならではの細かい配慮や、なるほどと思わせるようなテクニックも披露していたりするのですが、その一方で患者の問題を、未熟、幼稚、無知、といった図式で片付けたり、患者の親を基本的には善人というキャラクターで捉える傾向があったりしますので、虐待にはどんな対応をしているのだろうかと考えると心配になりました。
末尾に、読んでいてこちらが恥ずかしくなるくらいに、やたらと著者を賞賛しまくっている患者の感想文が掲載されているのですが、おそらく自分の患者の中からこういう心理状態にある人を選んで、この本の感想文を書かせたのでしょう。どういう編集上の意図があるのだろうかと首を傾げてしまいました。
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Understanding the Borderline Personality
著 者:Jerold Jay Kriesman,M.D., and Hal Straus
出版社:Avon Books
発行日:February 1991 価格:$5.99
ISBN: 0380713055
境界例について総合的に解説した本です。大量販売用に低価格の設定で出版されたものですが、なかなかよく書かれています。さまざまな調査のデータの数字なども分かりやすく書かれています。また、専門的なことについても、読者に分かりやすいように、そのつど具体的な症例を挙げながら丁寧に説明してます。
境界例を理解する上でのキーワードとして、共感、サポート、真実、の三つを挙げていて、この三つの視点からいろいろなケースを解説しています。しかし、これはちょっと単純化し過ぎるという印象を受けましたが、まあ、こういうアプローチの方法もあるのだという意味では参考になりました。
十年前に書かれた本ですので、データーなどに若干古いものもありますが、総合的な解説書として良くできていると思います。アメリカでは、心理学系の大学生のほとんどはこの本を読んでいるそうです。
【追記】
日本語の翻訳版が出版されました。上の方に紹介した「境界性人格障害(BPD)のすべて」がそれです。
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Taking Your Life Back When Someone You Care About Has Borderline Personality Disorder
著 者:Paul T. Mason, & Randi Kreger,
出版社:New Harbinger Publication, Inc.
発行日:July 1998 価格:$15.95
ISBN: 157224108X
境界例の人への接し方について書いた本です。境界例の人の心理状態の説明から始まって、境界例の人のさまざまな問題行動に対して、周囲の人がどのように対応したらいいのかという事について、非常に具体的な方法を紹介しています。この本はたくさんの人に取材した上で書かれていて、境界例の人やそれを取り巻く人たち、セラピストの人たちなどの生々しい言葉が随所に引用されています。境界例の人の周囲にいる人たちだけではなくて、境界例の人自身が読んでも、自分を知る上で、とても参考になります。わたしも、「境界例の人との付き合い方」シリーズを書く上で、参考にしています。
著者のホームページはここです。↓
BPD Central http://www.bpdcentral.com/
【追記】
日本語の翻訳版が出版されました。このページの上のほうにある「境界性人格障害=BPD」という本がそれです。
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Overcoming Destructive Patterns and Reclaiming Yourself
著 者:Beverly Engel
出版社:Fawcett Books
発行日:February 1992 価格:$11.00
ISBN: 0449906442
アメリカで出版された一般向けの self-help の本です。境界例とは直接関係ないのですが、回復に関して興味深いものがあったので紹介しておきます。情緒的なというか精神的な虐待について女性向けに書かれた本なのですが、男性が読んでも充分役立つような内容になっています。精神的な虐待のパターンについて説明し、虐待に遭遇した場合の建設的な対処方法や、傷ついた心の回復方法について、思考パターンを切り替えることや、感情の文章化といった方法を中心として書かれています。境界例の人から虐待を受けているという人にもいいでしょう。
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Your Friendly, Authoritative Guide to the Latest in Traditional and Complementary Solutions
著 者:Neil R. Bockian 他
出版社:Random House
発行日:2002/06/01 価格:$18.95- ISBN : 0761525726
この本は、ある意味で面白いというか、偏っているというか、変わっているというか、そういう本です。
境界性人格障害の解説と、その治療法について解説しているのですが、なんといったらいいのか。原因に関しては、肝心の「分離−個体化」理論が抜け落ちていて、脳の機能の解説になっていたり、治療法では弁証法的行動療法をメインに解説していたりして、一番実績のある力動的精神療法も一応取り上げているのですが、隅に追いやられています。ほかに取り上げているものとしては、認知療法、行動療法、人道的精神療法、集団療法などがあります。そして、心理療法以外の療法として薬物療法や、ヨガ、瞑想、音楽療法、中国の漢方薬や鍼、インドに伝わる古代の医学、同種療法、栄養学、エアロビックス、…もう何でもありです。
考え方の違いといわれればそれまでですが、いろいろな意味で、著者は問題の本質を外しているように思いました。
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【 境界例と自己愛の障害からの回復 】
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