日本の医療
統制とバランス感覚 中公新書1314
著 者:池上直己、J.C.キャンベル
出版社:中央公論社
発行日:1996年 8月25日 価格:¥720-
ISBN : 412101314X
この本は、アメリカ人に日本の医療制度をわかりやすく紹介する目的で書かれた本です。したがって、内容的には外国からの視点が入ることによって、客観的で分かりやすい内容になっています。そういう意味で、この本は、医療問題を考える上での入門書としても最適の本ではないかと思います。
日本の医療制度については、さまざまな問題点が指摘されていますが、それでも外国から見てみますと、きわめて優秀なものに見えてくるのです。読んでいて「へえ〜」と思うような意外な事実がたくさん書かれています。私たちが普段当たり前のように思っている制度も、外国の制度と比較してみますと、その違いに驚かされたりします。
この本では、厚生省と日本医師会について、その歴史と体質、それを取り巻く政治勢力、そして、両者の激しい攻防の歴史などを説明し、現在の制度がどのような経緯で作られてきたのかについて書いています。そして、医療政策が形成されていく政治的プロセス、健康保険制度や病院の経営状態、日本では成功した医療費抑制の仕組みなどについて分かりやすく解説しています。
医療問題を考える上での基本的な事柄が網羅されていますので、ただ単に「医者がバカだから」「厚生省がアホだから」と言う前に、この本を読むことをお勧めします。
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