著 者:磯部 潮(いそべ・うしお)
出版社:PHP研究所 PHP新書160
発行日:2001年 7月27日 価格:\660-
この本は、いわゆる自律神経失調症とか、不定愁訴とか、心身症とか言われている症状を、アメリカ精神医学界の診断基準であるDSMにならって、「身体表現性障害」という診断名を使いましょう、ということを書いています。そして、さまざまな症状を分類して、診断の手引きとなるようなくわしい解説もしているのです。まあ、いわば一般向けの本の形態をとりながらも、医師向けの手引き書ともなっています。患者のためのアドバイスも、終わりの方に、付け足し的に書かれています。著者は症状の原因として「ストレス」をあげてるのですが、この点については、まあ、なんというか……。
著者は、「身体表現性障害」に関する論文を書いて、学会から1999年度の最優秀論文に選出されたそうですが、このことは、逆に言えば、日本の医療の悲しい現実を物語っていると言えるでしょう。