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神戸連続児童殺傷事件
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暗い森
神戸連続児童殺傷事件 朝日文庫 あ4-75
著 者:朝日新聞大阪社会部
出版社:朝日新聞社
発行日:2000年 3月 1日 価格:¥560- ISBN : 4022612916
1997年5月27日の早朝、神戸市の友が丘中学校の校門前に、切断された子供の頭部が置かれているのを、出勤してきた学校の管理員が発見し、警察に通報した。駆けつけた警察官たちによって、ただちに校門付近は封鎖。学校側もすぐに臨時休校を決め、理由を告げないまま、生徒たちにあわただしく自宅待機を指示した。これが十四歳の少年による、センセーショナルな大事件の始まりだった。
この本は、朝日新聞の取材班が、事件の経過をドキュメントとしてまとめたものです。事件の背景にあったものは何か。少年の内面になにがあったのか。少年法の問題点は何か、などが書かれています。そして、いくつかの報道写真や、事件に関するさまざまな資料も掲載されています。比較的客観的な視点から書かれた本として、いい本ではないかと思います。
「魔物(自分)と闘う者は、その過程で自分自身も魔物になることがないよう、気をつけなければならない。深淵をのぞき込むとき、その深淵もまたこちらを見つめているのである」
犯人が作文で引用したニーチェの言葉
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「少年A」この子を生んで
父と母悔恨の手記 文春文庫 し37-1
著 者:「少年A」の父母
出版社:文芸春秋
発行日:2001年 7月10日 価格:¥514- ISBN : 4167656094
この本は、神戸連続児童殺傷事件の犯人の両親が書いた手記です。
ある日の早朝、二人の警察官が自宅のインターホンを鳴らした。警察手帳を見せ、息子さんから話が聞きたいので、連れていくという。なんのことか分からないままに息子を送り出すと、すぐに別の警察官が来て、お母さんからも話が聞きたいということで、連れて行かれる。すると、また違う警察官が来て、家に上がらせてくれと言う。家に残ったご主人は、なんだか変だなと思いながら警察官の対応をしていた……。
やがて、息子が犯人だと分かって頭の中が真っ白になってしまう。警察の家宅捜査。押しかける報道陣。逮捕のときの家族の混乱したようすが、実に生々しく書かれています。
犯人の少年は、事件を起こす前から、札付きの問題児でした。そして、事件の背後には育て方の問題、とくに母親の厳しすぎる育て方によって、愛情を知らないままに育ったという問題が指摘されていました。ですので、この本では、両親が事件の背景を明らかにするという意味で、子供をどんなふうに育てたのかという事が書かれています。
しかし、読んでいきますと、自分たちは普通の育て方をしたんだ、育て方には問題がなかったんだということを強調しようとする不自然さが、行間から見え隠れしています。こういう本ですから、被害者への謝罪や、自分たちの言い訳が前面に出るのは仕方のないことでしょうが、そういう面を差し引いて読んでいくと、やはり育て方について、いろいろと考えさせられるものがあります。
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地獄の季節
「酒鬼薔薇聖斗」がいた場所 新潮文庫 た67-1
著 者:高山文彦
出版社:新潮社
発行日:2001年 5月 1日 価格:¥552- ISBN : 4101304319
著者はこの本で、神戸連続児童殺傷事件の犯人「少年A」の内面にアプローチを試みています。そして、ランボーの詩集「地獄の季節」を手がかりに、まるで巡礼の旅人が聖地をひとつずつ巡るかのように、事件の舞台となった場所を、ひとつずつ訪れて行くのです。物思いにふけり、感傷にふけりながらも、事件の経過をていねいに説明し、少年の内面への思いを巡らせていきます。地元の人たちに取材した事も詳しく書かれていますので、事件の舞台となった団地住民の特殊性、地元の人たちの混乱ぶり、マスコミの加熱した取材合戦の問題など、事件の経過を立体的に知ることが出来ます。
また、著者は両親の性格も可能な限り描き出そうとして、両親の故郷を訪れたり、関係者への取材から得られたさまざまなエピソードも掲載されていますので、問題児だった少年の、育て方の問題点が、おぼろげながら見えてくるのです。
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「少年A」14歳の肖像
著 者:高山文彦
出版社:新潮社
発行日:2001年11月 1日 価格:¥400- ISBN : 4101304327
この著者による、神戸連続児童殺傷事件を扱った二冊目の本です。最初の本を書いた後で明らかになった事などをふまえて、少年の心の軌跡と、家族の姿に焦点を絞って、事件の経過をもう一度、詳しく描きなおしています。少年が好きだったホラービデオのタイトル。気に入っていたダリの絵。良く聴いていたスメタナの曲。崇拝するヒットラー。そして、猟奇的な事件に至るまでの異常な非行の数々。逮捕後の精神鑑定。猫を殺すシーンを思い出しながらオナニーをする異常さ。反省の言葉を口にしない少年。「死にたい」という少年。そして「生きなさい」という裁判官や弁護士。
少年はその後、府中の医療少年院で、少しずつ人間らしい心を取り戻しつつあるようです。そして、「生きてみよう」という気持ちになってきたようです。
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【 境界例と自己愛の障害からの回復 】
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