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近親相姦/性的虐待
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子どもと性被害 集英社新書0095
著 者:吉田タカコ
出版社:集英社
発行日:2001年 8月 1日 価格:¥700 ISBN : 4087200957
この本では、著者が取材した実例などをあげながら、近親姦や性的虐待について、把握しておくべき様々な問題点を解説しています。わずかではありますが、女性の加害者の問題にも触れている点が評価できます。
この本の特徴は、回復や、予防のための教育などについて、たくさんのページを割いて解説していることでしょう。福祉関係者や、教育関係者向けの解説書としていいのではないかと思います。
被害者によっては、サバイバー(生存者)と呼ばれたり、ウォリアー(戦士)と呼ばれたりすることに、憤りを感じる人もいるのだということがよく分かります。そして、著者は、日本で行われている、肝心の性交そのものについては教えない、ゆがんだ性教育の問題を指摘しているのですが、日本人の国民性を考える上で興味深いものがあります。
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父-娘 近親姦
「家族」の闇を照らす
著 者:ジュディス・L・ハーマン
出版社:誠信書房
発行日:2000年12月 1日 価格:¥4,500-
ISBN : 4414428556
この本は、「心的外傷と回復」の著者として有名なジュディス・ハーマンが、それよりもずっと前の1981年に書いた本なのですが、最近になってやっと翻訳されました。
彼女がこの本を書いたころのアメリカは、近親姦を扱った本が出版されるようになって来て、この問題が注目されつつあったとはいえ、まだまだ誤解と偏見が渦巻いていましたので、そういった偏見を打ち破るべく、強い意気込みと同時に、多少ムキになって書いているような面もうかがえます。しかし、このような近親姦に関する誤解と偏見は、今の日本の現状そのものでもあります。
この本では、父親と娘の近親姦を扱っているのですが、被害者たちの生の声が随所に引用されていますので、彼女たちの内面を知ることが出来ます。また調査による統計的なデーターもたくさん使われています。内容的には、近親姦に対する誤解を指摘して、加害者の特徴や、母親の位置付け、被害者の後遺症の問題、そして治療や予防について書いています。付録として、アメリカの各州の近親姦に関する法律を掲載しています。
補遺として、二十年後に加筆された一文が掲載されています。ここには、近親姦が記憶過誤によって捏造されたものであると主張する人たちへの反論が含まれています。
この本を翻訳したのは、アダルト・チルドレンで有名な斎藤学氏なのですが、その斎藤氏が、自分で調査した児童期における性的虐待のデーターを末尾に掲載しています。
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近親姦に別れを
精神分析的集団精神療法の現場から
著 者:R.C.ガンザレイン、 B.J.ビューリク
出版社:岩崎学術出版社
発行日:2000年4月7日 価格:¥3,000-
ISBN : 475330003X
この本は専門書です。近親姦の治療では、セラピストが逆転移とどう向き合うかというのが大きな問題となってきますが、この本では、この逆転移の問題に多くのページを割いています。精神分析的な集団療法を中心として、セラピストが直面するさまざまな問題点を洗い出しています。そして、患者の内面にひそんでいる、非常に複雑でダイナミックな葛藤や、さまざまな行動化などについても描き出しています。
フロイトが、心的外傷説を放棄したかのように誤解されていることについても触れています。
近親姦の治療のあり方を考える上での必読書として、専門家のみなさまに推薦します。
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近親相姦
症例とその分析
著 者:スーザン・フォワード, クレイグ・バック
出版社:河出書房新社
発行日:1981年7月20日 価格:¥1,800-
ISBN : 4309240119
この本は、近親相姦の問題について総合的に書かれています。なぜ近親相姦がタブー視されるのかという問題から始まって、近親相姦の犠牲者の苦しみ、加害者によくあるパターンなどを紹介しています。そして、近親相姦の、あらゆる組み合わせについて、具体的な症例を挙げながら説明しています。二十年前の本ですが、症例の中には、幼いころに性的虐待を受けて、多重人格になってしまった婦人のケースなども紹介されています。 少し古い本ですが、近親相姦に関する代表的な本のひとつとなっています。
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ブロークン・タブー
親子相愛の家族病理
著 者:B.&R.ジャスティス
出版社:新泉社
発行日:1980年9月16日 価格:¥1,800-
ISBN : 4787780069
この本も少し古い本ですが、近親相姦に関する総合的な解説書として、代表的な本のひとつとなっています。近親相姦が発生する状況を分析し、近親相姦がもたらす結果について解説しています。そして、近親相姦が発覚したときの、周囲の人の対応方法や当事者に対する治療方法についても説明しています。全体的に、具体的なケースを取り上げながら、分かりやすく解説しています。
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誰にも言えなかった
子ども時代に性暴力を受けた女性たちの体験記
著 者:エレン・バス ルイーズ・ソーントン
出版社:築地書館
発行日:1991年6月6日 価格:¥2,000-
ISBN : 480675692X
幼いころに性的な虐待を受けた人たちの、生の声が収録されています。アメリカの被害者たちの声が、この本によって日本で初めて紹介され、大きな反響を呼びました。たくさんの人の体験記が掲載されています。父親に犯された人だけではなくて、親戚の人から、知人友人から、見知らぬ人などから、幼いころに受けた性的な暴行の事が書かれています。このような出来事が、心にどれだけダメージを与え、被害者たちがいかに苦しみ続けてきたのかということが、その生々しい言葉を通して理解できます。
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沈黙をやぶって
子ども時代に性暴力を受けた女性たちの証言
+心を癒す教本
著 者:森田ゆり
出版社:築地書館
発行日:1992年11月24日 価格:¥2,000-
ISBN : 4806767042
この本は、上記の「誰にも言えなかった」の翻訳者が、日本での、性的虐待の体験記をまとめたものです。近親者からだけではなくて、知人や見知らぬ人などから、幼いころに性的な暴力を受けた人の体験記が、全部で二十編掲載されています。同じような体験を持っている人にとっては、「誰も理解してくれなかった」自分の苦しみに対して、共感の言葉を見い出すことでしょう。この本は、末尾に「心を癒す教本」が書かれています。性的虐待に関する分析と解説、心が癒されていくプロセス、日本における各種の支援団体などが掲載されています。
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セクシャル・アビューズ
家族に壊される子どもたち 朝日文庫
著 者:山口遼子
出版社:朝日新聞社
発行日:1999年11月 1日 価格:¥560-
ISBN : 4022612797
肉親から犯された被害者たちの、深刻な体験記が全部で六つ掲載されています。そして、性的虐待に関する説明、性的虐待の影響と後遺症、防止策と支援システム、関連する法律、などについて解説しています。
末尾に、大学院で心理学を専攻していた女性が、催眠術の実習で突然赤ん坊のころに父親に性器をもてあそばれていた記憶が甦って来る体験記が掲載されています。なんと彼女は十才になるまでの間に、実の父親、叔父、その友人、隣のおじさん、小学校の教師、と少なくとも五人の大人と性交していたのでした。甦った記憶によって、彼女は精神的に打ちのめされてしまい、絶望の淵をさまよいますが、やがて癒しのワークによって立ち直っていきます。短い文章ではありますが、苦しみにのたうち回り、泣いたり叫んだりしながら回復していく有り様は、同じような体験を持っている人にとって非常に参考になることでしょう。
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密室の母と子
著 者:川名紀美
出版社:潮出版
発行日:1980年5月15日 価格:¥980-
ISBN :
朝日新聞に連載されて大きな反響を呼んだ、母子相姦に関する特集記事を、一冊の本にまとめたものです。「ダイヤル避妊相談室」に寄せられた近親相姦に関する相談の中の、母子相姦に焦点をあてて取り上げています。いわゆるセックス通話者による電話とは違って、録音された会話はまじめな少年たちの声なのです。収録された会話からは、息子の性を食い物にする、加害者としての母親たちの姿が浮かび上がってきます。相談者の中には、いけないことをしているのだという罪の意識を持っているケースや、母親からの性的な干渉に嫌気がさしている場合もありますが、母親に完全に呑み込まれてしまい、「お母さん以外の女の人とセックスするなんて、気持ち悪くて」、というように、性的な自立が根こそぎ奪われてしまっているケースもあります。究極のマザコンでしょうか。
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強姦する父
娘への性的虐待
著 者:バルバラ・カーフマン、イングリット・ローシュテーター
出版社:未来社
発行日:1992年7月20日 価格:¥1,800-
ISBN : 4624501004
ドイツで書かれた、父−娘間の性的虐待に関する本です。十数人の被害者たちに、長期間のインタビューを行い、そこから父親による性的虐待の実体を描き出しています。著者が被害者意識に凝り固まっている部分が多少気にはなりますが、被害者たちの生の言葉がたくさん引用されていますので、その悲惨な心理状態が読者の心に伝わってきます。また、この本では、小児性愛者たちが自分たちの行動を正当するためにおこなっている自己主張をひとつずつ取りあげて、その間違いや欺瞞性について指摘しています。
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汝わが子を犯すなかれ
日本の近親姦と性的虐待
著 者:池田由子
出版社:弘文堂
発行日:1991年4月1日 価格:¥1,900-
ISBN : 4335650752
客観性を重視しようとする姿勢からでしょうか、相談機関に寄せられた近親姦の事例をいくつか取り上げて解説したり、さまざまな調査による統計的なデーターをたくさん引用しています。その一方で創作作品である小説などに描かれた近親姦もたくさん取り上げて分析しています。 この本の特徴は、父と息子の同性愛による近親姦の事例を6例もあげていることでしょう。もともと父と息子の事例は少ないのですが、よくこれだけの事例を集めたものだと関心します。しかし、その一方で母と息子の事例については、たったひとつだけ事例をあげた後で、「母と息子のインセストは存在するのか?」ということで、いろいろな点で疑問があると書いているのです。なお父と娘の事例は9例扱っているのですが、まあなんというか、こういう著者の感覚は、いったい何を意味しているのだろうかと、いろいろと考えさせられてしまいました。
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近親相姦に関する研究
著 者:久保摂二
論文の受付日:1957年9月25日(昭和32年)
学術誌「広島医学」第五巻第十二号に掲載
古い論文ですが、貴重な資料ですので紹介しておきます。 これは日本で初めて行なわれた、近親姦に関する調査をまとめたものです。論文では最初に、当時の知見による近親姦に関する総合的な解説と分析を行ない、その後で調査の結果として得られた36例について解説しています。この調査は広島県と島根県における施設収容者や、各種の相談機関で扱われたケースに対して行なわれたもので、可能な限り当事者に面接を行なっています。各事例については、家族構成、家庭環境、知能指数、クレペリン検査、相姦行為の経緯、事例の考察などが書かれています。そして、最後に調査結果全体の統計的な考察を行なっています。
なお事例の内訳は、父と娘15例、母と息子3例、きょうだい15例、その他3例となっています。悲惨なケースが多いです。
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【 境界例と自己愛の障害からの回復 】
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