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売れっ娘ホステスの育て方
  「水商売」の成功マニュアル!
著  者:難波義行
出版社:こう書房
発行日:2004年10月10日 価格:¥1,600 ISBN : 476960842x
 
 この本はホステスさんのための教育マニュアルです。ホステスの仕事とは、「会話によってお客を楽しませることである」という理念に基づいて書かれているのですが、改めて細かく解説されてみると、なるほどと妙に感心してしまうのであります。
 男はなぜ飲みに行くのか。それは高いお金を払ったとしても、ホステスさんと一緒に飲んでいれば、楽しい気分を味わえるからなのです。ホステスさんは、お客の自己愛をくすぐり、会話で楽しませて、居場所のない人たちに、つかの間の夢の世界を提供するのです。この本では、そのための具体的な方法を詳しく解説しています。
 まず、水商売の世界とはどういうところなのかという初歩的な話から始まって、ホステスの仕事につきまとう危険性、お客の心理、会話の上達法、売れっ娘になる方法、売れっ娘ホステスの育て方、などについて具体的に説明しています。
 しかし、なんだかお客に合わせているだけで、主体性がないような気もしますが、それが仕事なんですよね。ですから、楽しいこともあれば、結構ストレスが溜まることもあるようですね。
 この業界を知る上で、とても参考になりました。

セックスボランティア
著  者:河合香織
出版社:新潮社
発行日:2004年 6月30日 価格:¥1,500-
 
 この本は、障害者を対象に性的なサービスを提供している人たちや、サービスを受けている障害者の人たちを取材して書かれたルポです。
 障害者であっても性欲はあるのですが、障害者であるがゆえに、長い間、性の問題はタブー視されてきました。そして、こういう状態の中で、障害者の性欲の処理は、介護のスタッフや家族の人たちによって、たとえばマスターベーションを手伝うとかいう形で秘密裏に行われてきました。この本では、そういった障害者の性を取り巻く問題と向き合っている人たちをたくさん紹介しています。
 障害者のペニスを愛撫して、射精の介護をしている男性スタッフ。障害者をソープランドに連れていく人たち。ボランティアで性的なサービスをするOLや主婦。出張サービスの風俗店で働き始めた聴力に障害のある女性。障害者同士の夫婦やカップルが、性行為を行えるように手伝う人。出張ホストを呼んで性行為をしている障害者の女性。オランダでは、障害者が性的なサービスを受けるときに、市役所が助成金を出すところもあるそうなのですが、そういったオランダでの現状についても書かれています。
 こういった現実を知ると、障害者を取り巻く性の問題について、いろいろと考えされられます。そして、性的なサービスを提供している人たちの中に、何人か境界例らしき人たちがいることについても、いろいろと考えされられます。


ヤクザに学ぶ交渉術
幻冬舎アウトロー文庫
著  者:山平重樹
出版社:幻冬舎
発行日:2002年12月25日 価格:¥533-
 
 圧倒的に不利な状況に追い込まれながらも、気合一発。気迫のこもった啖呵をきれば、あら不思議。たちまちのうちに立場が逆転してしまう。言葉尻をとらえ、因縁をつけ、白を黒と言いくるめる、その脅しと交渉のテクニック。
 今のヤクザの世界は、交渉の時代なのだそうです。暴力団対策法が施行されてから十年。今ではむやみにドンパチができなくなりました。そこで、組織間のトラブルが抗争に発展しないようにと、交渉によって解決することが多くなったのです。ヤクザの交渉が、カタギの世界の交渉と違うのは、死人が出たり指を詰たりすることが、あるかないかというだけで、両者の間には共通する部分もたくさんあるのです。そこで著者は、ヤクザの交渉術について詳しく解説しているのですが、面白いエピソードもたくさん出てきます。
 しかし、ヤクザはヤクザです。もう少し、まともな生き方ができれば、人生の方向も、違う方を向いているんでしょうねぇ。でも、それがでなかなかできないからこそ、ヤクザはヤクザであり、境界例は境界例なんですよね。


バカの壁
著  者:養老孟司
出版社:新潮社
発行日:2003年 4月10日 価格:¥680-  ISBN : 4106100037
 
 この本が売れているそうなので、いちおう読んでみましたが、これは、いわゆる「知識人」の書いた本ですね。
 日々、バカな上司やバカな親と向かい合って、はらわたの煮えくり返るような思いをしている人たちにとっては、この本は所詮ノミが小便をした程度のものでしかないでしょう。
 しかし、なかには、いちいち感心しながら読む人もいるでしょう。あるいは反対に、内容が希薄で物足りないと感じる人や、著者の存在そのものが「バカの壁」のように感じる人もいるでしょうし、何でこんな本が売れるんだと、不愉快になる人もいるでしょう。
 私たちは普段、身近にいるたくさんのバカな人たちと一緒に生活しています。そして、場合によっては、逆に自分がバカ呼ばわりされたりすることもあります。しかし、これだけ身の回りにバカがあふれているにもかかわらず、バカについて解説した本や、バカな人の扱い方を考える本というのは、意外と少ないのです。バカに関する考察というのは、逆に「賢いとは何か」という問題にも繋がっていきますので、けっこう奥が深いものがあります。
 こういうテーマに対する需要はたくさんあると思いますので、この本がきっかけとなって、今後、もっと質の高い「バカ学」の本が出てくることを期待しています。


国会議員を精神分析する
  「ヘンな人たち」が生き残る理由
著  者:水島広子
出版社:朝日新聞社
発行日:2003年 5月12日 価格:¥1,000-  ISBN : 4022598271
 
 著者の水島広子氏は、民主党の国会議員であると同時に精神科医でもありまして、メンタルヘルスに関する本も何冊か書いています。しかし、著者は国会で本会議が開かれているときに、大胆にも自分の議席で年賀状の宛名書きをしていて、それを写真週刊誌に掲載された人でもあります。しかし、残念ながらこの本では、そのことについては書かれていません。
 内容としては、政治家の自己愛パーソナリティについて書いているのですが、自分自身が国会議員であるために、政治家たちの具体的な実例がたくさん出てきます。そして、自己愛パーソナリティの政治家の例として、石原慎太郎、ヒットラー、田中真紀子などが取り上げられていますが、現状では、このよう性格も政治家にとって必要な素質のひとつとして取り上げているところが興味深いです。しかし、このような性格の問題点についても指摘しているのですが、やはり政治の現場を体験しているだけあって、なるほどと思うようなことも書かれています。
 著者自身は、自己愛パーソナリティとは正反対の、良心的なリベラル派を自認しているようでして、自分の正当性を力説しているのですが、なんと言ったらいいのか……。
 政治家たちの自己愛が作り出す力学を知るには、ちょっと面白い本です。
 著者のHPはこちら。http://www.mizu.cx/



愛に撃ちぬかれし者
著  者:原田和広
出版社:幻冬舎
発行日:2002年11月10日 価格:¥1,600-  ISBN : 4344002598
 
 この本は、境界性人格障害と診断された著者が書いた小説です。
 一番興味深かったのは、あとがきに書かれている著者の経歴です。子供のころから頭脳優秀、スポーツ万能で、周囲の人たちから「天才」と呼ばれながら育ってきたのだそうです。さすがに天才と呼ばれるだけあって、特に努力することもなくスポーツ選手として地元で名を馳せ、特に勉強することもなくケンブリッジ大学の大学院に入り、そこでトップ・クラスの成績で修士号を取得しています。世の中には、こういう人もいるんですね。しかし、ケンブリッジに留学しているときに拒食症、鬱、不眠症、対人恐怖症などを発症。さらに帰国後、パニック障害に陥ったりして、まあ、いろいろなことがあったようです。
 で、この小説の中身ですが、文章がかなり知性に逃避していますので、知的であることに自分の存在理由を見出そうとする人にとっては、やたらと知的なところが面白く読めるかもしれません。
 さて、物語の方ですが、ちょっと陳腐な精神科医たちが出てきて、変な診断をしたりしますので、読んでいて「?」となったりしました。そして、主人公を中心とした男女のエディプス・コンプレックス的な三角関係が、折り重なるように展開していくのですが、さらにそこに性的虐待のサブストーリーが絡んだり、著者が「ソウルメイト」と呼ぶ、理想化された人間関係が絡んだり、時にはハード・ボイルド的なストーリー展開があったりします。
 私は、どうも不自然な部分がいろいろと気になって、読み進むにつれて集中力が途切れてしまいました。そして、途中で「これは急性うつ病?なんかじゃなくて、PTSDだろう」と叫びたくなりしました。しかし、ラストには感動的な結末が待っているとのことでしたので、がんばって読んだのですが、最後まで波に乗れませんでした。でも、本のタイトルをクリックして、アマゾンのページに行くと、感動したという感想ばっかりですね。うーん。いずれにせよ、著者は天才だそうですので、今後の作品に期待したいと思います。



「分かりやすい表現」の技術
意図を正しく伝えるための16のルール  ブルーバックス B1245
著  者:藤沢晃治
出版社:講談社
発行日:1999年 3月20日 価格:800¥-  ISBN : 4062572451
 
 売れている本なのだそうで、読んでみましたら、「まったくその通り」と納得できる内容でした。
 私もHPの文章を書くにあたって、分かりやすく書くにはどうしたらいいかということで、いろいろと苦労してきたのですが、やはり自分の頭のなかで知識や体験が整理されていて、自分でも何が言いたいのかということがよく理解できていないと、分かりやすくは書けないものです。つまり、私にとって分かりやすく書くということは、自分を理解することに繋がっているのです。心の問題を言語化して、それを分かりやすく表現しようとするとホントに苦労しますが、分かりやすく書けたかどうかという結果はともかくとして、こういった苦労が、自分を見つめる上で、非常にプラスになったと思っています。
 こんなふうに、私自身がバラバラになった思考や、混沌とした思考を整理して、何とかまとまった文章にしようと悪戦苦闘しながら学んできた、そのノウハウと似たようなことがこの本に書かれていますので、興味があったら読んでみてください。
 姉妹編として「分かりやすい説明の技術」という本も出ています。



Man of LA Mancha
   (ラ・マンチャの男)

著  者:Dale Wasserman
出版社:Random House
発行日:1966年11月01日 価格:$9.95  ISBN : 0394406192
 
 この本は、史上最大のヒット・ミュージカル、「ラ・マンチャの男」の台本です。世界各国で上演され、日本でも松本幸四郎が演じていることで知られ、2002年に千回の公演記録を突破しています。
 この作品は哲学的というか文学的なミュージカルなのですが、それでも観客の心をわしづかみにして、激しい感動でゆさぶる、もの凄いパワーを持っています。人生の使命とはなにか、人間のあるべき姿とはなにか、……。私はこの台本を読み進むにつれて、涙があふれてきて止まりませんでした。そして、読み終えた後で、しみじみと「英語の本が読めるようになって、本当によかった」と思いました。
 舞台設定は、最初から最後まで監獄の中という、ちょっと変わったミュージカルなのですが、その監獄で繰り広げられる劇中劇のなかで、ドン・キホーテと、売春婦のアルドンサとの関係が、徐々にこの作品のテーマを浮かび上がらせていきます。アルドンサが、自分は汚れた売春婦なんだ、母親から産み捨てられて、いまは男たちから利用されて捨てられるだけの女なんだ、と言ったとしても、妄想にとりつかれたドン・キホーテは一貫して彼女のことを「私のレディ」と呼び続け、彼女を高貴な人間として崇拝し続けるのです。たとえ、彼女が「 Crime! You know the worst crime of all? Being born. For that you get punished your whole life.」と言ったとしても、ドン・キホーテは、あるがままの彼女を見ずに、あるべき彼女の姿を見て「私のレディ」と呼び続けるのです。そして、人生の使命を歌った歌、見果てぬ夢(impossible dream)を歌うのです。繰り返し歌われる、この「見果てぬ夢」の歌が、やがてドラマの展開とうまく合わさって、私たちの心に強い感動と、強烈な人生哲学をたたきつけてくるのです。
 野球の松井選手が、アメリカの大リーグに挑戦することを決意したのは、帝国劇場でこのミュージカルを観たあとで、主演の松本幸四郎から「夢とは、ただ夢見るだけのものではなく、ただ語るだけでもなく、夢をかなえようとするその人の心意気だ」と言われて、心を決めたのだそうです。


わたしは8歳、ママのママしてます
著  者:岩谷チーちゃん、中谷和男
出版社:文芸社
発行日:2001年12月 1日 価格:¥895-  ISBN : 4835532015
 
 この本は、境界性人格障害の母親を持つ八歳のチーちゃんを描いています。チーちゃんは、壊れてしまったママを支えるために、一生懸命にママのママを演じようとしています。親子関係が逆転しているのですが、悲惨な家庭環境にありながらも、チーちゃんは懸命に頑張って生きているのです。
 しかし、この本は実に奇妙な本なのです。この本の大部分がチーちゃんの独白形式で書かれているのですが、実際にチーちゃんが延々と自分を語っているのではなくて、著者が本人や周辺を取材したうえで、チーちゃんの生きる姿と心の軌跡を「代筆」したのだそうです。ということは、これは小説のようなものであると言えるでしょう。読んでいると、チーちゃんの生の言葉が聞きたくなるのですが、どこまでがチーちゃんの言葉で、どこからが著者の脚色によるものなのかさっぱり分からないため、年齢にふさわしくない言葉が出てくるたびに、強いフラストレーションを感じてしまいます。しかし、著者は、「チーちゃんの心のうちを描き抜けたと確信している」のだそうで、かなり強い思い入れを持っているみたいで、驚いてしまいます。しかし、本文に出てくる健気な姿と、あとがきに出てくる極端な赤ちゃん返りを見せるチーちゃんとに、なにかズレを感じてしまいます。それに某医学博士のコメントにも、ちょっとズレを感じてしまいます。そういう意味で、ズレと距離の取り方が興味深かい本でした。


少女ポリアンナ
  偕成社文庫
著  者:エリナー・ホッジマン・ポーター
出版社:偕成社
発行日:1986年 5月 1日 価格:¥700-  ISBN : 403651380X
 
 児童向けに書かれた小説ですが、ストーリー展開がうまいために、大人が読んでも面白く読めます。
 孤児となったポリアンナは、自分がどんなにひどい状況に置かれても、そこに何らかの「うれしいこと」を見つけ出すという、亡くなったパパから教わった楽しいゲームを続けて行きます。そして、ポリアンナはこのゲームの達人なのです。どんな不幸な状況であっても、必ずそこにうれしいことを見つけ出して、周囲の人たちに歓びを与えていくのです。そして、このゲームのやり方を教わった人たちも、うれしいことを見つけ出すというゲームに夢中になっていくのです。
 この小説は、1913年に出版された途端にベストセラーとなり、その後もロングセラーを続けましたが、それだけではなくて、アメリカの各地にポリアンナ・クラブというのが設立されて、「うれしいことを見つける」ゲームに、たくさんの人が夢中になりました。このような、常に希望を持ち続けて前進を続けるという姿勢は、アメリカ人の国民性を考える上で参考になります。
 主人公の名前 Pollyanna は英語の辞書にも載っています。「底抜けの楽天家」という意味だそうです。確かに、現実と噛み合わなくなってしまえば、ただのオメデタイ人になってしまいますので、要注意です。しかし、このゲームのやり方を知っておけば、何かの時に役立つと思います。


お前はうちの子ではない橋の下から拾って来た子だ
著  者:竹内 徹(たけうち・おさむ)
出版社:星和書店
発行日:1999年11月9日 価格:¥2,000-  ISBN : 4791104072
 
 看護学校の授業で、自分が子どものころに「お前はうちの子ではない〜」と言われた時の体験を話したところ、生徒たちから大きな反応があった。それ以来著者はこのテーマに取り付かれることになります。そして、現在に至るまで三回のアンケート調査を実施し、この本でその分析を行っています。アンケートの質問項目としては、言われた体験があるか、誰から言われたか、何歳ころに言われたか、どこから拾ってきたと言われたか、言われてどう感じたか、誰かに対して言ったことがあるか、などです。著者の関心は主に民俗学的な方向に向かっていて、古来からある厄除けのための子捨ての儀式などとの関連や、地域による差があるか、などを検討しています。そして、さらに著者の思考は迷走を続け、子育て論や教育論を展開したりしています。しかし、残念なことに、ここには「見捨てられ不安」という言葉はひとつも出て来ませんし、「対象恒常性」という言葉も出て来ません。しかし、著者は民俗学者ではなくて、精神科医なのです。著者とともに、読者が自分なりに思考を巡らせてみるという点において、非常に面白い本です。
 著者のHPはこちら。http://hashinoshita.jp/

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