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ひきこもり
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 推薦
ひきこもり救出マニュアル
  
著  者:斉藤環
出版社:PHP研究所
発行日:2002年 7月11日 価格:¥2,100 ISBN : 4569621147
 
 著者が以前に「社会的ひきこもり」を出版したあと、ひきこもりをめぐる社会的な状況も大きく変わりました。そこで著者は、家族のための、徹底したマニュアル本の必要性を感ずるようになって、この本の執筆に取りかかりました。
 そんなわけで、この本ではひきこもりに関するあらゆる問題を網羅しています。内容も、質問に著者がわかりやすく答えるという形式を取っていますので、読みやすい内容になっています。ひきこもりに関する大量の質問が設定されていますので、自分が今直面している問題に対する答えも、この中に見つかると思います。
 全体的に言って、著者は家族の人たちに対する気配りをした文章を書いていますし、治療法に関しても自分の考え方を押しつけたりせずに、謙虚な姿勢をとっているところが好感を持てます。ただ、いまだに「いきこもりシステム」などという独自の理論を引きずっているのですが、これは気に入らなければ無視してかまわないと思います。


ひきこもりカルテ
  精神科医が語る回復のためのヒント
著  者:内田千代子
出版社:法研
発行日:2001年 8月 1日 価格:¥1,300-
ISBN : 4879543810
 
 この本では、まず、ひきこもりが欧米には見られない現象であることから、日本と欧米の文化の違いを指摘し、日本特有の、まるでダンゴ虫のような、親子間の深い密着の問題を取り上げています。
 そして、精神障害との関係に軽く触れた後、たくさんの事例を紹介していて、さしずめ「ひきこもり事例集」とでも言った感じです。いじめ、母子密着、心的外傷、暴力、社会恐怖、摂食障害、パニック障害など、ひきこもりの様々な治療例を、多少精神分析的な視点も交えて紹介しています。こういったたくさんの事例の中から、読者に回復のためのヒント読みとってもらいたい、といったところでしょうか。
 しかし、この本では、なぜかひきこもりの典型的な重症例、たとえば部屋に閉じこもってしまって、簡単な伝言メモでしか会話ができないようなケースは、取り上げていません。何らかの形で、著者の所へ治療を受けに来た人たちを取り上げています。



ひきこもり
  「対話する関係」をとり戻すために
著  者:田中千穂子
出版社:サイエンス社
発行日:1996年7月25日 価格:¥1,300-
ISBN : 4781908098
 
 Q&A形式で優しく説明しています。ひきこもりのきっかけ、本人の心理状態、周囲の人の対応、長期化した場合の問題点、自殺や自傷行為の問題など、ひきこもりに関するさまざまな問題を取り上げています。
 後半の第二部では、乳幼児精神医学の視点から、乳幼児期の母子関係の問題と、思春期に表面化するさまざまな問題の関係について、たいへんやさしく説明しています。そして、著者が扱ったケースの中から一つだけ事例として取り上げて、その回復のプロセスについて、詳しく解説しています。病弱の母親に育てられた「よい子」だったはずの息子が、思春期になってから自殺未遂をしたり、家で暴れたり、ひきこもるようになったりして、著者のところに治療を受けにきました。そして、治療の経過とともに、母親も息子も精神的な自立に伴う激しい葛藤と戦いながら、やがてそこから抜け出して行くプロセスが書かれています。いろいろな意味で参考になります。
 出版社の、この本の紹介ページ



★推薦

ひきこもりの家族関係
  +α 新書 52-1A
著  者:田中千穂子
出版社:講談社
発行日:2001年01月20日 価格:¥700-
ISBN : 4062720558
 
 上記の本に続いて、著者の、ひきこもりに関する二冊目の本になります。いろいろな面で、前回の本よりも内容的にまとまっていますし、より本質に迫った内容になっています。私としては二重丸の評価です。優しい言葉で、分かりやすく書かれているのですが、内面的な洞察に満ちた内容になっています。親の心理への深い洞察がありますので、家族の方に、ぜひ読んでもらいたいと思います。ひきこもっている人が読んでも、自分自身の心が描かれているような思いがするのではないでしょうか。そして、もしかしたら、なにか癒されるようなものを見い出すことが出来るかもしれません。
 一般向けに、分かりやすく書かれた本ですが、専門家の方にもおすすめします。治療の進め方に関して、非常に示唆に富んだ内容となってますので、治療技法を考える上で参考になると思います。
 ただ、後半の方は、内容的にもう一皮剥けてもらいたいという思いもしましたが、著者の今後の活躍に期待したいと思います。
 出版社の、この本の紹介ページ


社会的ひきこもり
  終わらない思春期  PHP新書 65
著  者:斎藤環(さいとう・たまき)
出版社:PHP
発行日:1998年12月4日 価格:¥657-
ISBN : 4569603785
 
 この本は、引きこもりに関して詳しく解説しています。しかし、私は読んでいて「?」と思うところがいくつかありましたが、中でも著者が独自の理論を展開をしている「ひきこもりシステム」という考え方に関しては、「???」でありました。ひきこもりを個人の病理としてとらえるのではなくて、家族や社会からなる「システムの病理」として捉えるんだそうであります。興味のある人は読んでみて、自分で判断してください。
 まあ、こういう「?」な理論展開はあるにしても、著者は一生懸命ひきこもりの問題と取り組んでいて、アンケート調査を実施したりして、数字的なデーターをはじめとして、さまざまな詳しい情報を提供しています。そして、著者はひきこもりの診断基準というのを提案しているのですが、果たしてこれが医学的に受け入れられるかどうか、今後の成り行きを見てみたいと思います。
 著者は、このようにシステム的な発想を重視する人のようですが、引きこもりの患者を多数扱っているせいか、その豊富な経験に基づいて、親御さんたちに対するアドバイスは、極めて具体的であり、非常に分かりやすい内容になっています。ということで、この本は「?」な部分はありますが、読んでおいた方がいい本のひとつであると言えるでしょう。
 それにしても、206ページに書かれている去勢に関する説明も、「???」でした。まあ、これも私の視点から見てのことですので、興味のある人は、自分で読んで自分で判断してください。
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引きこもる若者たち
著  者:塩倉裕
出版社:(株)ビレッジセンター出版局
発行日:1999年4月30日 価格:¥1,600-
ISBN : 4894361272
 
 著者は、朝日新聞の記者です。引きこもりに関心を持って、新聞に連載記事を書きました。そして、この記事を読んだ読者から700通以上の手紙と700本を超える電話がありました。
 この本では、第一部で当時の記事に多少手を加えたものを掲載し、続いて第二部で読者から寄せられたたくさんの生の声を、そして、第三部で、一番上の欄でも紹介した「ひきこもり」の著者である田中千穂子などへの取材や、各種の支援機関の紹介をしています。
 この本の持っている力は、なんと言っても、ひきこもり状態にある人たちの生の声や、家族の人たちの苦悩に満ちた生の声などがたくさん収録されている点にあるでしょう。当事者たちの置かれている生々しい現実を知るという点において、非常に参考になる本です。
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