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摂食障害(拒食症・過食症)
本の題名をクリックすると、オンライン書店 Amazon.co.jp の、その本の紹介ページに行きます。
拒食と過食
  心の問題へのアプローチ
著  者:青木紀久代
出版社:サイエンス社
発行日:1996年 5月 1日 価格:¥1,200-
ISBN : 4781908055
 
 この本は、Q&A形式で一般向けに分かりやすく書かれた本です。まず症状の説明からはじまって、境界性人格障害との関係や、治療の受け方などを解説しています。そして、家庭環境の問題や、摂食障害の人の心理状態について、精神分析的な視点から非常に詳しく説明しています。
 終わりの方で、専門家向けに治療上の理論的な解説や、再養育療法による治療事例の解説などもしています。
 心の問題に焦点を当てて考えてみたい人にとっては、入門書としておすすめです。


拒食、過食のながいトンネルをぬけて
著  者:鈴木 裕也
出版社:女子栄養大学出版部
発行日:1997年 9月 1日 価格:¥1,300-
ISBN : 4789553353
 
 コミックを取り入れたり、あるいは患者さんからの手紙をたくさん紹介したりして、全体的に若い女性を意識した雰囲気で編集されています。
 この本の特徴は、摂食障害の具体的な症状や、さまざまな「現象面」について、非常に詳しく解説していることです。摂食障害の歴史からはじまって、摂食障害になる様々なパターンとして、たとえば結婚がきっかけでなったとか、受験勉強やいじめ、レイプなどが原因でなるケースなどを紹介しています。そして、摂食障害にともなう異常行動として、万引き、変身願望、不登校、性的逸脱、自傷行為、強迫行為などを取り上げています。
 しかし、著者は摂食障害の原因については、脳が原因であるとして、間脳原因説とでもいったような、変わった説を展開しています。したがって、心のメカニズムに対する洞察は貧弱で、境界性人格障害との関係については全く書かれていません。医学的な面については詳しく書かれているのですが、これは内科医が書いた本ですので、仕方ないのかもしれません。しかし、終わりの方で、再養育療法などについて、簡単に紹介しています。
 この本では回復した人たちの手紙なども紹介していますので、絶望的な気持ちになっている読者に、希望を与えてくれることでしょう。


過食症からの脱出
  自分で治す実践ガイド
著  者:P.J.クーパー、生野照子、西園文
出版社:女子栄養大学出版部
発行日:1996年 1月 1日 価格:¥1,800-
ISBN : 4789553345
 
 自分の力で過食症を治そうという人のために書かれた、セルフヘルプの本なのですが、解説書としてもバランスの取れた内容になっています。
 本の前半は、イギリスの専門家が作成した、セルフヘルプのマニュアルになっているのですが、その性質上、過食症を治そうという意志のある人を対象にしています。この本の対象から外れる人は、治そうという意欲のない人、人間関係から完全に孤立している人、体重の非常に軽い人、アル中、自傷行為、糖尿病などのある人です。こういう人は、専門家の治療を受けた方がいいでしょう。
 マニュアルの部分では、非常に具体的な指示が書いてありますので、このガイドライン従って実践してゆけば、症状が改善するようになっています。
 後半の解説の部分では、日本の著者が、拒食症や、境界性人格障害、うつ病などといった、過食症と関係の深い症状や、いろいろな合併症状についても、分かりやすく解説し、また過食症の一般的な治療方法についても説明しています。さらに、過食症の低年齢化に伴って、小児科医の視点からも書かれています。
 治したいと思っている人にとっては、ともかく挑戦してみるだけの価値があるでしょう。


「やせ願望」の精神病理
  摂食障害からのメッセージ
著  者:水島弘子
出版社:PHP研究所
発行日:2001年 4月27日 価格:¥660-
ISBN : 4569615899
 
 対人関係療法をやっている著者が言うには、正確な知識を提供する必要があると思ったので、この本を書いたようなのですが、摂食障害と境界性人格障害との関係については、まったく触れられていません。
 著者は、摂食障害の原因はストレスであるとして、ストレスの解消こそが治療の基本である言い切っています。そして、ストレスの発生について、性格分類の視点から摂食障害を解説しているのですが、かなり強引な感じがしました。しかし、ここに書かれているコミュニケーション分析に関する部分が、「一面の真理」を描いていますので、この部分を読んで、目から鱗が落ちるような思いをする人も多いのではないかと思います。しかし、コミュニケーションを万能視して、これだけですべてを押し切るには無理があり、患者への対応にも、取りこぼしが多いように思いました。



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【 境界例と自己愛の障害からの回復 】