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精神分析(専門書)
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羨望と感謝
  無意識の源泉について
著  者:メラニー・クライン
出版社:みすず書房
発行日:1975年 1月15日 価格:¥1,200-
 
 この本は、対象関係論を構築したメラニー・クラインの仕事の集大成のような内容になっています。境界例を理解する上でも重要であり、クライン自身が発見した分裂機制(妄想-分裂病的態勢)や、投影性同一視などについても書かれています。
 赤ん坊が最初に乳房に向ける感情、つまり悪い乳房に対する羨望の感情と、良い乳房に対する感謝の感情が作り出す分裂した世界、やがて悪い対象と良い対象が統合されるときに体験する抑うつ的態勢、そして、過度の羨望がもたらす罪悪感の芽生えや、性器期への問題の持ち越しなどについて書かれています。
 後半ではいくつかの事例をあげて、具体的な検討を行い、最後に精神分析の究極的な目標などについて書いています。
 この本では、末尾に「研究自伝--遊戯療法から」を収録しています。ここでは、クラインがどのようにして理論や技法を発展させていったのかということを書いています。それから、訳者あとがきでは、松本善男氏が、クラインの理論や、その位置づけなどについて解説しています。
 「羨望と感謝」はメラニー・クライン著作集の第五巻にも収められています。



精神分析的心理療法の手引き
 
監  修:鑪 幹八郎(たたら・みきはちろう)
出版社:誠心書房
発行日:1998年 5月10日 価格:¥3,200-
ISBN : 4414401844

 これはセラピスト向けに、精神分析的な心理療法について解説した本です。基本的な考え方や、基礎的な技法について解説しています。そして、最初の面接のやり方や、その後の治療の展開について、非常にわかりやすく、また実践的に書かれています。セラピストが治療の途中で遭遇するであろう、さまざまな問題についても取り上げて、具体的にどのように対応したらよいのかということを解説しています。たとえば、クライエントが贈り物を持ってきたとき、受け取っていいものかどうか、あるいは、抱いてほしいと言われたときにどうするか、といったような、具体的な問題を取り上げているのです。ですので、非常に実践的な内容になっています。
 しかし、ここに書いてあることをすべて鵜呑みにしないでください。たとえば、境界例に見られる、近親姦への対応については、間違ったことが書かれているのです。ここに書かれてあることは、中途半端なセラピストが陥りやすい間違いそのものなのであります。
 (近親姦への対応については「近親相姦・性的虐待」のコーナーで紹介している「近親姦に別れを」などを参考にしてください)


精神力動的精神医学
  その臨床実践[DSM-IV版]
  (1)理論編  (2)臨床編:1軸障害  (3)臨床編:2軸障害
著  者:G・O・ギャバード
出版社:岩崎学術出版社
発行日と価格:
  (1)理論編 1998年1月16日 \4,500-
  (2)臨床編:1軸障害 1997年10月1日 \4,500-
  (3)臨床編:2軸障害 1997年10月1日 \4,500-
 
 力動的精神医学とは、精神分析「的」な治療技法であり、現在主流となっている考え方です。境界例の精神療法も、おもにこの考え方に基づいて行われています。理論編から始まって、必ずしもすべての障害を網羅しているわけではありませんが、それぞれの障害に対する力動的なアプローチの仕方について解説しています。精神療法を学ぼうという人は、一応、この本に目を通しておいた方がいいと思います。境界例に関しては、当然の事ながら(3)で扱われています。


新しい精神分析理論
    米国における最近の動向と「提供モデル」  
著  者:岡野憲一郎
出版社:岩崎学術出版社
発行日:1999年10月1日 価格:\3,800-
 
 精神分析のなかでも、古典的な技法に凝り固まっている人は、この本を読んで、頭から冷や水を浴びてみるものいいかもしれません。
 サブ・タイトルにあるように、アメリカで活躍している岡野氏が、最近の向こうの動向について報告しています。中でも興味深いのが、分析療法の治療効果に関するいろいろな研究にいて書いてある部分です。効果判定については、さまざまな苦労があるようですが、どうやら、精神分析的ではない他の治療方法と比べても、とくに精神分析が有利であるという結果を出せないでいるようです。まあ、症状によって、療法ごとの得手不得手があるようですが、ここで、では精神分析に於いて、治るとかどういうことなのか、治療に必要な要素とは何なのかという問題が出てくることになります。そこで、岡野氏は、きわめて慎重にではありますが、最近のアメリカの流れでもある、「提供モデル」というのを提唱しているのです。しかし、その主張の展開が、あまりにも慎重すぎてじれったくなるのですが、ここらへんは、いかにもマジメ過ぎるくらいにマジメな岡野氏らしいところでしょう。従来から言われているセラピストの中立性を超えて、とは言っても、あくまでも中立性を保ちながらも、セラピスト自身が患者に対して自己開示をする必要性を力説しているのです。いわば、中立性を保ちながらも、人間の顔をしたセラピストになって、人間としての自分を使って治療をしていこうということなのです。
 そのほかにも、新しい流れとして、患者との相互関係の重視、深層心理の見直しなど、いろいろなことが書かれています。


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