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性的な依存症
  本の題名をクリックすると、オンライン書店 Amazon.co.jp の、その本の紹介ページに行きます。
 NEW 8/28
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セックス依存症の記録
著  者:相馬真由美
出版社:朱鳥社
発行日:2005年06月30日 価格:¥1,000- ISBN : 4434063561
 
 著者は、アメリカの大学院に留学します。そして、修士課程を終了後、アメリカの田舎町で恋人との同居生活を始めます。しかし、不本意な仕事に就いたことと、恋人とは遠距離恋愛になってしまったことが重なって、やがて鬱状態になり、摂食障害にもなりました。そして、いつしか孤独感を癒すために性的な事を考えるようになりました。性的な興奮によってもたらされるハイな状態になることによって、精神的な苦痛から逃れようとしたのです。やがて職場の男性とセックスするようになり、インターネットでもセックスの相手を探すようになりました。こうして不特定多数の人たちとセックスを繰り返しているうちに、職場でのインターネット使用歴から、自分の行動が上司にバレて、警告処分を受けました。ここから、著者の治療への取り組みが始まって、一応の回復をみた現在に至るまでの過程が書かれています。
 この本の全体的な印象としては、著者がまだ自分自身に素直になれていない面があるのでしょうか、それとも文体のせいなのでしょうか、まだ心にベールが掛かっているような印象を受けました。それと、思わず身を引いてしまうような高飛車な部分もありますが、これはおそらく自己中心的だった父親の態度が、そのまま再現されているのかなと思いました。


 NEW 8/28
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セックス依存症だった私
著  者:K子、押川剛
出版社:
発行日:2005年 9月30日 価格:¥1,200- ISBN : 4104613029
 
 セックス、ドラッグ、万引き、詐欺、クラブのDJ、なんにでもハマッテしまって、それでもアッケラカランとしています。なにか頭の蓋が取れてしまった感じの人です。
 初体験は十六歳。そのときの彼氏からセックスのスパルタ教育を受けて、何でもできるようになって、援助交際で稼いで、ほかでもヤリまくって、それで性病のデパート状態。
 ドラッグもいろいろなのに次々と手を出していきます。何の罪悪感もなく、ドラッグ体験がアッケラカランと楽しそうに語られています。
 危険性に対する無頓着さ、人を欺いても何とも思わない自己中心性、ただひたすら快楽を求め続けるどん欲さ……、こんな人もいるのだという点で参考になります。
 しかし、なにかに行き詰まって、著者の押川氏が運営している「本気塾」を訪れ、いまは更正に励んでいます。


  セックス依存症
  その理解と回復・援助
著  者:パトリック・カーンズ
出版社:中央法規
発行日:2004年 4月20日 価格:¥4,000 ISBN : 4805824492
 
 この本は「 Out of the Shadows 」の翻訳版ですので、そちらの方の書評も参考にしてください。
 セックス依存症というのは、たとえば行きずりのセックスがやめられない、ソープランド通いがやめられない、露出症がやめられない、痴漢がやめられない、のぞきがやめられない、レイプや近親姦がやめられない、裏ビデオやポルノ画像の収集がやめられない、など様々な形で現れてきます。やめられない、止まらないという状態になって生活に支障が出てきたり、社会的な人間関係にも悪い影響が生じたりします。そして、本人も抑うつ感や、罪悪感、むなしさ、絶望感などに苦しんだりするのですが、それでもやめられないのです。  この本では症状の詳しい解説と、その回復の手段として12stepの説明をしています。精神分析系の本ではないので、内面に対する鋭い分析はないのですが、セックス依存症をうまく整理してまとめてあります。
 セックス依存症の問題を考える上で、このような重要な本が出版されたことはいいのですが、翻訳に問題があるのです。訳者は翻訳のプロではないので、多少のことには目をつむりたいとは思うのですが、どうも内容よりも文章の書き方の方が気になってしまいます。


  16歳だった
  私の援助交際記
著  者:中山美里
出版社:幻冬社
発行日:2005年 1月25日 価格:¥1,300 ISBN : 4344007387
 
 著者が、高校二年から三年にかけて援助交際をしていたときの体験談です。
 いわゆるコギャル風の軽薄な会話から始まります。早く処女を捨てたい、男が欲しい。そして、軽いノリでクラブのパーティーに行くことになったのですが、六本木への行き方が分からない。若いのに背伸びして大人の世界に入り込もうとする。やがて遊び男たちと出会って、いろいろな体験をしていって、そのうちにオヤジたちを相手に援助交際をするようになります。
「あたしはみんながマックや学校で過ごしている間、暗い、狭い、湿った部屋で、一人で知らないオヤジとセックスしていた。土日は二人、三人と時間をずらして交わるなんてこともあった」
 彼女は性交中に意識を飛ばすテクニックを身につけて、意識を解離させることで、精神的な苦痛を回避します。おそらく彼女にとっての援助交際とは、解離された幼いころのレイプ体験を克服しようとする、その無意識的な試みだったのでしょう。しかし、この行動化によって、さまざまな問題が起きてきます。摂食障害。離れて行く同級生。お金が全ての生活。
 あまり深い自己分析はありませんが、かつてコギャルでヤリマンだった著者自身の、等身大の姿がここに描かれています。


  LOVE SICK
  One Woman's Journey Through Sexual Addiction
著  者:Sue William Silverman
出版社:W.W.Norton & Company
発行日:2001年5月 価格:$24.95 ISBN : 0393019578
 
 セックス依存症の著者が、12ステップの療法によって、二十八日間入院したときの体験記です。
 入院中の出来事が、一日ずつ書かれているのですが、その合間に過去の出来事が回想として語られていきます。今も不倫の密会を続けている男のこと。幼いころからずっと実の父親と性交を続けていて、それが愛というものだと教えられていたこと。母は知らぬふりをしていたこと。大学の寮に入るために家を出るまでの間、ずっと父親との関係が続いていたこと。寮で生活している間にも、性交したいろんな男たちのこと。危険な男たちに惹かれて関係を続けていったこと、などが書かれています。
 摂食障害、抑うつ状態、感情の大きな揺れ動き、自分が無いという空虚な感覚なども併せ持っています。境界例的な特徴があるのですが、borderline という言葉は全く出てきません。12ステップの特徴である higher power とか、spirituality とか言う言葉が治療中によく出てきます。こういう言葉が嫌いな人は、ちょっと眉をひそめるかも知れません。そして、治療ではしらふになることが求められます。もともと依存症に焦点を合わせた療法ですので、境界例治療という視点から見ると、ちょっと物足りないところがあります。
 性的な描写は抑制されていて、ほとんど描かれていません。著者の内面の独白が多いのですが、なかでも「 I want to -- 」という表現がやたらと出てきます。いずれにせよ、セックス依存症の人の内面や、思考パターンがよく分かります。著者はもっと回復してから書いた方がよかったのではないかという気もしますが、まだ混沌としている心理状態が、ある意味でセックス依存症の現実を描き出しているとも言えるでしょう。


Out of the Shadows
  Understanding Sexual Addiction
Patrick J. Carnes
published by Hazelden
2001/05/01 ISBN : 1568386214 $16.00
 
(上記の「セックス依存症」の原書です)
 この本は、セックス中毒や、性的依存症、性的逸脱といった問題を考えるうえでの必読書であるといえるでしょう。特に、インターネットの普及に伴って、ネット得られる性的な情報によって、人間の性行動が大きく変化することが予想されますので、今後はますます性的な依存の問題が重要視されるようになるのではないかと思います。
 性的な依存症というのは、日常生活に支障を来したり、自分の社会的な地位が破滅に瀕しているにもかかわらず、性的な行動が「やめられない、止まらない」という状態の人をいいます。たとえば、明日の仕事のことを考えればもう寝なければならないのに、深夜遅くまでネットのポルノ画像を見続けたり、浮気がばれそうになって、家庭の崩壊や、社会的な地位を失いそうになっているにもかからわらず、愛人との性行為がやめられない、というような状態の人たちです。
 著者は、豊富な事例をもとに、このような性的な依存の症状を次の三つの段階に分類しています。
レベル1:過剰な自慰、過剰な性交回数、過剰な性関係、ポルノ中毒、買春。
レベル2:露出症、のぞき、いたずら電話、痴漢行為。
レベル3:子供に対する性的いたずら、近親姦、レイプ。
 これらのレベルは、おおまかな目安ですので、症状が複数のレベルにまたがることもよくあります。性的な依存状態にある人は、性的なものに対する欲求が非常に大きくて、性的な思考が支配的になっているのです。そして、症状が進んでいくうちに、自分の行動がコントロール不能になっていって、やがて人生に様々な不利益を生ずることになるのです。
 こういう人たちの心の中には、心理的な空虚感があって、その空虚感を埋め合わせるために、性的な刺激や快感を果てしなく求め続けるのです。著者は、このような問題について、たくさんの事例を紹介しながら、非常にわかりやすく解説しています。
 著者は、回復の方法として、アル中などでよく使われる12ステップを提案していますので、例によって、ハイヤー・パワー( Higher Power )とかいう、アダルト・チルドレン業界でおなじみの、少しオカルトじみたような言葉も出てきます。


性依存
  その理解と回復
編  集:吉岡隆, 高畠克子
出版社:中央法規出版
発行日:2001年12月01日 価格:¥2,400- ISBN : 4805821558
 
 この本は、最初に上記の「 OUT OF THE SHADOWS 」の要約が簡単に箇条書きで書かれているのですが、しかし、なんと言ったらいいのか、上記の本の著者であるカーンズ氏は、読者に分かりやすいようにと、非常にていねいに解説しているのに比べて、この本はいかにも手を抜いたというか、そんな印象を持ちました。そして、いきなりカーンズ博士へのインタビューになっているのですが、「OUT OF THE SHADOWS 」を読んでいない人にとっては、読者を無視したような編集で、非常に取っつくにくい出だしではないかと思います。一体どういう読者を想定して編集したのでしょうか。
 しかし、「当事者が語る性依存」という部分に大きなページが割かれていて、たとえば、テレクラでその場限りのセックスを繰り返す女性の事例や、痴漢がやめられなくなった男性の事例、下着泥棒やノゾキからはじまって風俗通いにハマッてしまった男性の事例、マスターベーションがやめられなった女性など、ほかにもいくつか紹介されていますので、これらの体験談が多少は参考になるのではないかと思います。
 治療方法は、もっぱら12ステップですので、その業界特有の言葉が出てきます。末尾に、自助グループが紹介されています。



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