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精神分析(一般向け)
本の題名をクリックすると、オンライン書店 Amazon.co.jp の、その本の紹介ページに行きます。
図解雑学 精神分析
著  者:小谷野博 監修:富田三樹生
出版社:ナツメ社
発行日:2001年11月01日 価格:¥1,300-
ISBN : 4816330844
 
 本のタイトルに「雑学」などという安っぽい言葉が入っていますが、読んでみましたら、意外にも内容的に良くまとまっていました。文章と、たくさんの図を使って解説しているのですが、このレベルの入門書としては、なかなか良く出来ているのです。これは、専門家が、工夫しながら執筆したことによるものであると思います。
 内容的には、精神分析とは何かという説明から書き始めて、フロイトが精神分析の理論を築き上げていく過程に沿って、その考え方を解説しています。そして、フロイト以降の精神分析の発展についても、代表的ないくつかの流れを紹介して、それぞれの理論についても解説しています。そして、現在では、精神分析の理論が境界例の治療に用いられていることや、PTSDや精神分裂病の理解にも役立っていることなどが書かれています。
 精神分析の入門書として、いいのではないかと思います。


フロイト
  その思想と生涯    講談社現代新書383
著  者:ラッシェル・ベイカー
出版社:講談社
発行日:1975年1月28日 価格:¥600-
ISBN : 4061157833
 
 フロイトの伝記のなかでも、一般の人に読みやすく書かれているため、ロングセラーを続けている本です。フロイトの生い立ちから始まって、やがて精神分析学を構築し、その後弟子たちの離反にあい、ナチスに追われ、最後にロンドンで息を引き取るまでの、「人間」フロイトの、人生のドラマが描かれています。それと同時に、フロイトがどのようにして精神分析学を作り上げていったのかという、そのプロセスや、精神分析の考え方などが、分かりやすく書かれています。


マンガ フロイトの「心の神秘」入門
  無意識と夢判断の自己分析
著  者:福島章、石田おさむ(絵)
出版社:講談社
発行日:1999年10月 1日 価格:¥1,500-
ISBN : 4062690896
 
 フロイトの生涯と、精神分析の理論を築き上げていく過程が、漫画によって分かりやすく描かれています。漫画ですと、たとえば性に関して書かれているところで、男女が性交している絵が出てきたりして、読んでいて視覚的なインパクトを受けますね。
 フロイトの理論がそっくりそのまま現在まで生き延びているわけではありませんが、フロイト的というか、古典的な精神分析の考え方が、かいつまんで解説されています。



フロイト入門
  ちくま新書254
著  者:妙木浩之(みょうき・ひろゆき)
出版社:筑摩書房
発行日:2000年7月20日 価格:¥660-
ISBN : 4480058540
 
 この本は、少々マニアックな内容になっています。フロイト研究の最新の成果を取り入れて、フロイトの生涯を、その思想の形成過程に焦点を当てて描いています。フロイトが公にされることを嫌がっていた手紙などの重要な文献が、最近になって公表される方向にあるようで、そういった新しい資料や、フロイトに対するさまざまな批判などについても考察しています。末尾に、「読書案内」として、フロイト研究に関する大量の本が紹介されていて、著者の博識ぶりが伺えます。「フロイト研究」の入門書としてはいい本ではないかと思います。


「自己愛」と「依存」の精神分析
  コフート心理学入門  PHP新書196
著  者:和田秀樹
出版社:PHP研究所
発行日:2002年03月01日 価格:¥680- ISBN : 4569621058
 
 日本では一般的にはあまり知られていない、ハインツ・コフートという精神分析家を紹介した本です。コフートは、アメリカでは非常に人気のある人で、自己愛や依存というものを肯定的にとらえようとした人です。人間の心が健全に成長していくためには、周囲の人たちによって、本人の自己愛や依存心が満たされなければならないという考えに基づいています。ですから、治療では患者の自己愛への欲求を適度に満たしてやろうではないか、ということになります。こうやって、誰かから褒めてもらえたという体験が繰り返されると、それが健全な心を作る基礎になっていくのです。そして、自己愛性人格障害のような人たちに対しても、その人が褒められたがっているのならば、褒めてあげようではないかと考えるのです。
 全体の内容としては、コフートの生涯、フロイトとの関係、コフートにおける共感の問題とロジャースとの関係、依存と自己愛の問題、コフートの発達理論と治療理論、などについて解説しています。誰にでも分るようにと、非常にていねいに解説しているのですが、やはり一部で用語の点で少し混乱するかもしれません。


壊れた心をどう治すか
  コフート心理学入門II  PHP新書252
著  者:和田秀樹
出版社:PHP研究所
発行日:2002年10月29日 価格:¥720- ISBN : 4569624588
 

 前に書いたコフート心理学の続きの本です。
 まず最初に、フロイトの精神分析について、やたらと細かい説明をしてから、次に境界例と自己愛パーソナリティ障害の、それぞれのメカニズムと治療理論について論じています。そして、コフートの理論について詳しく解説しているのですが・・・。
 自己だとか中核自己だとか、いろいろな用語が出てきますが、なにか言葉遊びをしているような感じです。それに、はたしてこれが治療と呼べるのかという疑問が脳裏をよぎりました。たしかに、褒めたり、おだてたりして自己愛を満たしてやるというのも、支持的な対応としては理解できますが、これだけでやっていこうというのは無理があるように思います。コフートは軽症の患者しか治療しないということで批判を受けているそうですが、これは実にもっともな話だと思います。コフートの理論は、へたをすれば、ただ単に患者に迎合しているだけじゃないか、ということになってしまいますからね。
 しかし、このコフートの理論がいまアメリカで流行っているのだそうです。精神分析医といえども生計を立てなければなりませんので、売上げのことを考えるなら、こういう理論が流行るのも無理はないかも知れません。著者は、アメリカでのこういった精神分析業界の経済的な事情についても詳しく書いていますので、この部分だけでも読む価値があるかも知れません。



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